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行動で愛を証明しよう

出版倫理と性表現について女性読者の立場から考えています。性暴力・DV反対!もっと日本が結婚・子育てしやすい国になりますように。

男性学に期待すること

今回、森岡さんの過去の仕事を概観して思ったのは、国益に資する仕事がないんです。臓器移植関係の仕事はロリコン性癖が下心としてあったらしいし草食系男子関係は眼鏡ちがいじゃないかと思いますし、誕生肯定はセルフヘルプグループでいいじゃんと思ったのですが、こうなると、もう何にも残らないんです。一度は好きになった人だから、何かひとつぐらいは評価できる仕事があるのではないかと思ったのですが、いいところがないんです。

21世紀になり、もう哲学的課題というのはほとんど残っていないのはないか。実存の病というのは、いまは薬(向精神薬)で治すしかないと思います。その点、投薬ができる精神医学に、哲学は勝てないと思います。 

また男性学についてですが、本来フェミニズムというのは女性のものであり、フェミニズムをそのままひっくり返しても、見当はずれなものしかできないと思います。男性学というものがあるとすれば、別の持ち場があると思います。それは父性的な部分です。

男性学と一口に言っても、どうも学者さんによってやっている内容がぜんぜん違うみたいで、林道義さん(元東京女子大教授)の男性学には、私は非常に共感するところが多いのです。林さんのサイトから、引用します。

男性性の概念にとって必要な要素は、つぎのとおりである。

 

まず「精神的な強さ」の第一の要素は、客観的な判断力である。すなわち感情や目前の欲望・利益に惑わされないで、事態をあるがままに把握する能力。これはニーチェウェーバーが推奨したsachlichな精神的態度にあたる。またそのためには具体的にものを越えて高いところから全体を把握する能力も必要になり、そこから論理的・抽象的な思考も発達する。


「精神的な強さ」の第二は克己、すなわち自分をコントロールする能力であり、目的のために感情や欲望を抑える能力である。たとえば通過儀礼において「沈黙」が課されるのは、この能力が試されているのである。これは苦痛や欠乏に耐える能力であり、もっと一般的に言うと、目的のために最適の手段を整える能力である。ウェーバーがこれを「目的合理性」と呼んだように、理性や合理性を増大させていく原理である。

 

第三は構成力であり、これはそのときどきに必要なルールや体系を自ら作り出し、またそれを維持し守る能力である。これは文化を創造し、継承していくことと関係がある。(「構成力」の概念については『父性の復権』で詳しく論じてある。) またこの要素が必要になるのは、男性が攻撃性を持っていることに対して、それをチェックするものが必要になるからである。

 

つぎに「精神的な高さ」とは、人間界をはるかに超越した超個人的な精神的ないし霊的な存在を想定し、それを基準にして人間のあり方を考えるという精神的な構えである。たとえばその典型的なものとして、超越的倫理的な神を信じ、その神の倫理的要求に答えようとする態度を挙げることができる。また抽象的な理念、たとえば正義、公正、誠実、仁・義・礼・智・信などといった高い徳を求める精神的態度である。

 

この男性性の概念から「男らしさ」の理想として、「強さ」「強き(悪しきもの)をくじき、弱き(正しきもの)を助ける」「正しいことを主張する勇気」「潔さ(利己主義を捨てる)」「全体のための自己犠牲」「公正にメンバーを扱う」などといった性質が考えられる。

これは深く納得しました。まさに家の中で、旦那さん(お父さん)にやってもらいたい部分です。

家の中に父がいない場合(母子家庭等)、このエッセンスを子どもに伝えるのは、アニメや童話等、フィクションに代行してほしい部分です。お母さんが家事をしている間、息子にアニメを見せておくと、子どもが男性性を規範として内面化してくれる、というコンテンツがありがたいです。デュマやジュール・ヴェルヌ、私が師事していた船戸与一さんの小説がまさにこの要素でできています(反対が、女性搾取的コンテンツと私が批判したところの『エヴァンゲリオン』のような物語です)。

倫理学には、加藤尚武さんが教えていたような感じで、自己決定権(1章 ヘアヌードと他者危害の原則、5章 何歳になったら親に内緒で人工妊娠中絶をしよいか)アファーマティブ・アクション(11章 公正の概念とアファーマティヴ・アクション)の部分について、しっかり教えてくれることを期待しています。この本は何度かご紹介していますが、一般向けにかみ砕いて書いてあって、いい本です。

応用倫理学のすすめ (丸善ライブラリー)

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あと精神医学・心理学の領域になってしまいますが、機能不全家庭(文学者等著名人の実例に学ぶケーススタディについて、しっかり教えてほしいと思います。

例えば男親がDV不倫・嗜癖をしたら、どう子どもに影響が出たかということは、

のケースをそのうちご紹介します。

以前、愛着障害のところで言及した岡田尊司さんは、少年院に勤めている精神科医の先生なんです。この人は哲学科に入ったんですが、哲学では実存の病は治せないと思ったのか、医学部に入り直している。精神科医になるためには、医師免許が必要です。

回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち (光文社新書)

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私はこの人はすごいと思っていて、文学者等有名人のケーススタディの掘り起こしを、ほぼ一人でやっているんです。文献収集が大変なはずなんです。

また少年犯罪に対して、大人としてどう見識を示すかということは、酒鬼薔薇事件など凶悪な少年犯罪が相次いだ時に、加藤尚武さんもこういう本をお書きになられています。

こういう尊敬できる諸先生方の仕事に比べ、森岡さんの仕事は迷惑なだけなんです。