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行動で愛を証明しよう

出版倫理と性表現について女性読者の立場から考えています。性暴力・DV反対!もっと日本が結婚・子育てしやすい国になりますように。

草食系男子はほんとうに結婚に向くのか(1)

援助交際世代の婚活女性として、また元交際女性として、2000年代後半に草食系男子ブームの旗手を務めた森岡正博さんの言論活動の内容を批判的に検証したいと思います。

最後の恋は草食系男子が持ってくる

最後の恋は草食系男子が持ってくる

 

まず、自著では自分のことを草食系と自称していますが、私とつきあっていたときは、奥様・不倫相手(女性研究者)・十代の私と、3人の入れ食い状態だったわけだから、おまえはぜんぜん草食系じゃねえだろ、ということをツッコんでおきます。どうもこの人の話には嘘が多いです。 

さて、森岡さんは、草食系男子が増加してきた理由として、P.55でこのように分析しています。

 戦後六五年の平和のおかげで、日本の男性たちは戦争にかかわる機会を失いました。そして彼らから、戦場で人殺しをする能力がどんどん失われていきました。戦時中日本軍の指揮のもと、多くの若い男性が人殺しの訓練を受けていたのですが、いまやそのような正式の訓練を受けている若者は自衛隊員以外、ひとりもいません。そして自衛隊の男性ですら、戦場でほんとうに人を殺したことはないのです。

このようにして、戦争に関与しない平和な社会のなかで、殺人につながるような凶暴性が若い男性から奪われていき、そのような社会の変化を背景として、徐々に若い男性の草食化が進んでいったのだと考えています。すなわち、「凶暴性がないと男ではない(やくざ映画に出てくる男たちを想像してください)」という価値観が薄くなっていき、肉食系の心を持つ男性から凶暴性が失われ、草食系の心を持つ男性が草食系の心のままで生きやすくなったのです。

日本は、米国や韓国のように徴兵制がないのでマチズモ(男らしさ)がない、草食系男子は長年の平和主義のその結果生まれた新人類と賞賛していますが、これがまさしく私が日本人男性に感じる違和感です。「こんなに弱くて、海外と戦争になったときに闘えるのかな?」と思うんです。武力を行使する戦争は起こらなかったとしても、経済戦争というのは普段も起きているわけです。東芝が潰れましたけども、製造業の次の産業がいまいち見えてこないんです。日本は大丈夫かと危惧しています。世界の金融市場を相手に闘ってきたジャパニーズ・ビジネスマンたる藤沢数希とは対極です。

2009年に本書で草食系と呼ばれた男の子たちは、まさに現在中年童貞になっている暗黒大陸です。彼らの行動パターンですが、鶉まどかさんが指摘している「クラッシャられ」「離乳食系男子」の行動パターンです。

tsunamiwaste2016.hatenablog.com

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私たち女性からすると、重い。上げ膳据え膳をしないといけないので、めんどうくさい。告白してこないから、こっちからアプローチしないといけないし、結婚にもなかなか結び付かないんです。別れるのも大変です。 

本書には草食系男子数人にインタビューした対談記事が掲載されているのですが、彼らと「恋愛」をする上でのメンタル面に着目した話題が多いです。かなり腫れ物に触るような姿勢を要求されます。

森岡さんに欠けている視点ですが、とにかく労働問題の深刻さを分かっていない。

女性の中でも、女女格差があるので、下層女性はすごく安月給で、キツい労働条件で働くことを余儀なくされています。男性は正規雇用であることが多くて、女性は非正規雇用が多いです。例えば派遣労働だとして、いちばんの大きな差は賞与です。有給休暇がないです。手当もないです。交通費が自己負担です。

さらに土日は草食系男子の彼氏を上げ膳据え膳しないといけない。こちらからすると「お金を余計目に出すか、もう少し気を遣って」と言いたくなります。

あと森岡さんは、男女交際においては恋愛とセックスしか見ていないんです。あんまり家庭運営能力を重視していないので、メンタル面での抽象的な話が多いです。とにかく草食系男子は傷つきやすいので、傷つけないように気をつけろと、まるで、スナックのホステスか臨床心理士のような細心の心配りを要求されます。こちらからすると「お前が傷つきたくないだけだろ」と言いたい。 

「女性がラブホテル代を出すと言ったらどうしますか?」という問いに対して、ある草食系男子が「出してくれるなら遠慮しません」と答えているんです。私のような婚活女性としては、なぜそこまで草食系男子を女がちやほやしなくちゃいけないのか、分からない。

また、2009年刊のこの本の中で、すでに「男女でワリカン」というテーゼが提唱されている。翌年の2010年の数字なのですが、男女の所得格差を見てみましょう。

●企業年金ノート(りそな銀行) 2010.3

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男性100に対し女性67.8です。

しかもこの調査はパートタイマーは除外しています。男女の正社員に限っての比較です。女性のパートタイマーだともっと安いです。

この差はどこにいくのでしょうか? ですから森岡さんの言う「男女平等」というのは、実質的に男権拡大なんです。彼の話を吟味するには、このバイアスを差し引いて考える必要があります。

私の個人的なエピソードになるのですが、デート代の負担について、私の場合は、食事(ランチ・ディナー)は相手男性に出してもらって、その後の喫茶店でのコーヒー代(ケーキ)を私が負担するという負担割合を提案しています。これだとだいたい7:36:4ぐらいです。男性側としてはメンツが立ち、私も「身銭を切りますよ」という姿勢を示せるのでいいかなと自分では思っています。食事の後には必ず「ごちそうさまです」とお礼を言うようにしています。このぐらいが、カップル間アファーマティブ・アクションとしては落としどころだろうと思っています。

また私は以前、元カレをマツキヨの化粧品売り場に連れて行ったことがあります。フルメイクをするのに、いくらぐらいかかるのかというのを、試算して見せたことがあります。ファンデが3,000円、口紅が3,000円…というふうに携帯の電卓で合計金額を算出して、見せたことがあるんです。

特に女きょうだいのいない男性だと、数字にして示されないと、女性が陰で負担しているコストが分からないようです。「清楚系が好き」とか、外見だけの印象論だけで高踏的に女性を批評したりします。ただ知らないだけで、悪気はないので、教えてあげればいいんです。女性がメイクやファッションにどの程度お金をかけているかが分かると「ぼくは男で、正社員で稼いでいるんだから、多めに負担しないといけないな」と思ってくれるみたいです。

また本書のP.140でDVについて言及しています。森岡さんは「肉食系男子とちがってDVをしないですよ」と指摘しています。私は異論があって、草食系男子は嗜癖うつ病に陥る傾向があると思っています。

森岡さんの思想は、基本は、観念操作なんです。例えば、

無痛文明⇔苦痛が溢れる自然(ウォシュレットとぼっとん便所のように)

男の不感症⇔感じる女

 つまり0(何かが無い)1(何かが有る)という状態を想定して、1を基準に0という状態を規定して、その状態について考えるということをしている。ですから『最後の恋は草食系男子が持ってくる』も観念操作です。

草食系男子は結婚向き⇔ただの喪男

ただの喪男を、まるではぐれメタルのように語り、レア度を煽っているだけです。こんなふうに男を上げ膳据え膳で扱うと、逆にスポイルすることになるし、女性は、疲れちゃうと思います。だからこいつらは放置でいい。

この観念操作ですが、こういう考え方をすることで彼自身が幸せになっていないので(欲求不満になっている)不要なことだと思います。そうではなく、新しい問題が出たらその都度克服する、あるいは他人の幸せについては「そういうものだ」と受忍するという知的態度を取るのが賢明だと思います。