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行動で愛を証明しよう

出版倫理と性表現について女性読者の立場から考えています。性暴力・DV反対!もっと日本が結婚・子育てしやすい国になりますように。

森岡正博さんの誕生肯定に対する疑問

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NOTEのほうにも掲載していますが、注意喚起のためにはてなブログにも掲載しています。

一般論なのですが、DV加害者・アディクション当事者は絶対嘘をつきます。例えばアル中を想像してください。飲むためならどんな嘘でもつきます。お酒を取り上げると「酒は百薬の長」「体の中をアルコール消毒している」等といろんな理屈をつけて怒りだします。お酒を飲み続けるために、あらゆる理屈で正当化しようとします。病気が言わせているんです。そういう病気なんです。

 森岡さん自身は自覚があり、自著で正直に書いています。

無痛文明論

無痛文明論

 

ドメスティック・バイオレンスを振るう男たちの態度を変えさせるための働きかけのほとんどは失敗に終わっている。だが絶望に陥るのではなく、状況を変えるための新たなアプローチを探ってゆかねばならない。そのためにも、われわれは次に述べるアイデンティティの問題を、正面から考える必要がある。(中略)

私は、なぜその既得権を手放さないのかについて自己正当化をはじめるであろう。様々なもっともらしい理屈を付けて、その正しさを訴えようとするだろう。しかしそれでも相手が納得しなければ、次に私は、いろいろな言い逃れをし始める。自分でも苦しいとわかっているような屁理屈を作り出してしまう。それでも相手が納得しないときには、暴力や脅しによって相手を黙らせようとするだろう。そして、それでも相手が屈しなければ、最後の手段として、その相手となにかの取引を始めたり、あるいはその相手と何かの共犯関係を取り結ぼうとするだろう。(P.162) 

出版当時45才です。ここまで自覚できているので、相当のことがあったと想像します。

アディクション当事者は、とにかく依存対象から隔離する必要があります。例えばアル中には、一滴もお酒を飲ませてはいけない。重度のアル中は、久里浜病院や赤城高原ホスピタルのような精神科の閉鎖病棟に入れて、とにかく断酒させます。

森岡さんの場合は、関係嗜癖セックス依存症)なので、女性から物理的に隔離する必要がある。

ですが、筑摩書房が『感じない男』でやってしまった「アディクション加害者が自分を美化して書いた本を、伝統あるちくま新書から出版して、著者の虚像を一般に流布する」というのは、嗜癖問題を本当に理解していたら絶対にやってはいけないことなんです。嗜癖を助けていることになる。

職業と嗜癖が関連している場合があります。例えば「酒屋のアル中」という話があります。酒屋なので、身の回りに常にアルコールがあり、ほぼ断酒が不可能なのです。こうなると、生きるためには酒屋を廃業して、別の仕事に転業するしかない。ところが転業までするとなると、大きな覚悟が迫られる。

通称「底つき」と呼ばれるのですが、アルコール依存症が悪化して「あと一滴でも飲んだら、肝臓が壊れて死ぬ」という極限まで行くと、人は「嗜癖を続けるか、嗜癖を辞めて生きることを選ぶか」という究極の選択を迫られるのです。

森岡さんの場合は、現在は早大勤務ですが、大学勤務ではなくて、以前お勤めだった国際日本文化研究センターのような研究所勤務になれば、女子大生との接点を物理的になくせます。ところがご本人、そうはなさっていない。本気で治そうと思っているなら、藁をもすがる思いで、なりふり構わずすべての努力をするはずです。彼は無神論ですけど、本当に助かりたかったら、なりふり構わず宗教に入るはずです。しかしやっていることは逆ですよね。

ということはまだ「底つき」を経験していないんです。「関係嗜癖を克服した」と本書で宣言していますが、偽装転向なんです。治っていない。

となると、今回私が名乗り出ましたけど、当然懸念されるのは、私以外にも、泣き寝入りしている女性がいる可能性があるということです。出版社は、森岡さんに、十代女性への性搾取を批判した本書を表向き出版させることで、彼が、別の新たな十代女性に対して加害行為を続けることに加担したかもしれないのです。

昨年、このようなことがありました。NPO法人日本対性暴力研究所なる団体が都内にあり、レイプ被害者の女性に対して、護身術を教えるという支援活動をしているのです。しかし理事長とお会いしたところ、「極左団体の代表者や有名ナンパ講師と知り合いである」と不審なことを言ったのです。

tsunamiwaste2016.hatenablog.com

 都庁で団体の定款を閲覧したところ、設立目的の欄に、本来であれば当然盛り込まれているべき「人権擁護」「男女共同参画の推進」といった文言が見当たらないのです。不自然ですよね。

私は、「不純な目的で設立された団体かもしれない」と心配し、理事長の素性を洗いました。すると、理事長が過去に左翼系の雑誌にフェミニズムの批評を投稿していたことが分かりました。同和問題について取り組んできた方のようで、さらに偽名を使って活動をしていることが分かりました。

後日、その方の関係者と名乗る方から情報提供が寄せられました。内容については書きませんが、私は問題視しました。

彼はNPO法人まで設立して、善意を装って、レイプ被害で精神的に深刻な状態にある女性に近づき、いったい何をやるつもりだったのでしょうか。私が懸念したのは、相談した女性側が二次被害を受けて、自殺などのクリティカルな事態が発生することです。私はとにかく、傷つく女性がひとりでも出てはいけないと思いまして、被害の未然予防のために、都庁の職員に情報提供をし、自分のブログで注意喚起をしました。

いっぽう森岡さんは現在、誕生肯定という哲学を展開しているそうです。

誕生肯定とは何か: 生命の哲学の構築に向けて(3)

これは、福島原発事故水俣に代表されるような自然災害・公害や、レイプ被害等、突然の不幸に遭遇し、生きる目的を見失ってしまった人たちへ連帯を呼びかけ、実存を肯定するというものだそうです。

私はうさんくさいと思いました。嗜癖を続けるための口実だ」と思いました。「自分が教祖様のセックス教団を作るつもりなのだろう」と疑惑のまなざしを向けました。冒頭にも申し上げたように、嗜癖の当事者は、嗜癖を継続するためならどんな嘘でもつきます。そういう病気なんです。

そもそも関係嗜癖だった著名人が、精神的に深刻な状態にある災害被害者やレイプ被害者の弱者女性に支援目的で近づいて、いったい何をするつもりなのか。自分のことすら満足にできていない人間が、弱者に関わったところで、何にもできるわけがないんです。考えられる目的はただひとつです。私の疑念は、健全な懐疑精神だと思います。

私は、災害ボランティアの経験がありますが、とりわけPTSDで深刻な状態にある被災者の場合は、支援に慎重さが求められれ、ボランティアもチームで関わるのです。自殺が心配されるほど深刻な方の場合は、保健師ソーシャルワーカーなど、対人援助の有資格者しか関われないです。当然行政も入ります。ボランティアの場合は社会福祉協議会第三セクター)が関わります。適切なガバナンスがあるのです。

私が誕生肯定の論文を見て、いちばん懸念したのは、関わった方の自殺です。すでに自然災害や犯罪被害等で生きる目的を見失っているような方々に、関係嗜癖の当事者が善意を装って近づく。悲劇の予感しかしません。

さきほどのNPO法人の場合は、いちおう役員に精神保健福祉士が名前を連ねていたんです。NPO法人ですから、定款や理事会もありますし、都道府県が改善命令を出したり、最終的に解散を命じる権限もありますから、何重かのガバナンスがあるのです。

しかしこの誕生肯定の場合はどうなんでしょうか? 法人などの体裁をとっていませんので、責任者もはっきりしません。論文を見ていても、危なっかしい印象しかないのです。

嗜癖を辞めるための共助組織としては、セルフヘルプ・グループというものが存在します。アルコール依存症なら、例えばアルコホール・アノニマス(AA)というような名称で、全国各地にあります。ギャンブル依存症なら、ギャンブラーズ・アノニマスです。この組織の運営の中核には、ハイヤーパワー」という、神仏のような、超越者の規定が欠かせません。参加者は「自分は『ハイヤーパワー』につねに監視されている」と想像することで、嘘をついたり、悪いことをしなくなる、というものです。

神という言葉ではなく「ハイヤーパワー」という言葉を使っているのは、参加者の宗派に配慮しているためです。神という言葉を使うと、キリスト教の神を想像しますので、「ハイヤーパワー」という言葉にして、仏教などほかの宗派の方々や、無神論者も入れる仕組みにしているのです。

例えばアルコール依存症の場合で「どうしても飲みたい」と魔が差したとします。しかしAAに参加していれば「断酒の誓いを破ってこっそり酒を飲みたい。しかしハイヤーパワーが見ている。いかんいかん、やめよう」と思うのです。単純なことで、神仏に監視されていると思えば、人は悪いことをしません。

森岡さんの誕生肯定は、神なしで実存を肯定するというものです。彼は『宗教なき時代を生きるために』で、宗教には入らないという選択をしました。無神論者なんです。

宗教なき時代を生きるために

宗教なき時代を生きるために

 

 ですが、今回指摘したとおり、『感じない男』で読者に対してこんな大嘘をついて、恬として恥じない。こういうことを、提唱者の彼がやったということ自体、この誕生肯定に根本的な欠陥があるということの証明ではないのか。

やはり信仰(あるいは高次元の霊的な存在)なしで、嗜癖を離脱するということは不可能なのでしょう。本人は救われるかもしれないけど、周りが救われないということになるのではないか。実際、今回、私と読者と筑摩書房が不幸にさせられている。

『感じない男』も「誕生肯定」も大阪府立大学時代に行われた仕事ですが、誰か関係者が適切な批判を行ったり、介入した様子が見られない。大阪府立大というのは公立大学ですので、私たちの血税がこういうことに支出されているということになります。説明責任を果たすべきです。

なんの目的があって、仕事の体裁を取って、このようなことをやるのか。当然彼を知っている人間としては、懸念するんです。

災害直後は、被災者は非常に精神的な高揚状態にあり、性的な逸脱を起こしやすいのです。「吊り橋理論」と言われます。恋愛工学でも吊り橋理論は扱っています(『週刊金融日記』第21号)。

阪神大震災でも東日本大震災でも被災地でレイプがあったという話を聞きますし、避難所や災害ボランティアの間でも「恋愛」が多かったです。ベテランの災害ボランティアの方によれば、どこの災害地でもみられるようです。

災害をきっかけにご結婚されたカップルもおり、周囲としても、結婚に至るような互恵的な男女関係であれば、なによりの幸せなので心から祝福したいのですが、よくないのは破滅的な男女関係です。強者が支配的なDVの関係を続けるというのがよくないのです。

二月に森岡さんとやりとりしたときには、「私自身はだいぶ前に色事からは足を洗い、それからは一途です」とは言っていましたが、「お互いに敬意のある色事は否定していません」とも言っていました。結局、浮気OKなんです。

嗜癖を治すには、神仏、あるいは超越者による縛りが不可欠なのではないか。それならば、何も新しいものを作らなくても、既存のセルフヘルプグループで十分です。ハイヤーパワーとは、まさに森岡さんのような無神論者に配慮した概念です。

さらに既存のセルフヘルプグループであれば、加害者側と被害者側とでグループを分けるという工夫をしています。アルコール依存症当事者(加害者)はアルコホール・アノニマス(AA)に参加し、アルコール依存症の家族(被害者)は、アダルトチルドレンアノニマス(ACA)という、別のグループに参加するのです。加害者側と被害者側を同じグループにすると絶対トラブルが起きるので、分離するのです。

もう一つ心配なのは、この誕生肯定では、サバイバーのトラウマ(PTSD)を他の人と共有すると書いてある。PTSDのことを「破断」と呼んでいます。

http://www.philosophyoflife.org/jp/seimei201602.pdf

ここでもガバナンスが欠如していて、精神科医やカウンセラー、ソーシャルワーカーというような、援助専門職のコミットメントが見えてこないんです。そういう状況で、知らない人同士でトラウマを共有するということは非常に危険なことです。自殺や他殺、心中のリスクが出てきます。

私は昔、フロイトの『精神分析学序説』を彼から勧められました。学者は、ラディカルな方法にこだわるんだと思います。いまはあんまり暴露療法(トラウマを思い出して、カウンセラーに話して自己治癒する)一辺倒ではなくて、「心のかさぶたは、意味があってそのかさぶたが形成されたのだから、無理にはがさないようにしましょう」という考え方もあります。

※とにかく「誕生肯定」に関わる弱者(被災者や性暴力サバイバー)の方々へ、森岡さんは強引なので、気を付けたほうがいいです。人は、肩書があるとすんなり信用してしまう傾向があるのですが、勤務先の大学は就業規則の範囲内でしか責任を負いません。とにかく逃げてください。あなたの心身が一番大事です(私は彼に関わったことを後悔しています)。

貴重な文科省の科技費を使って、こういう、倫理的に問題のある研究を行うことに意味はあるのでしょうか? 彼は若い頃の対談で「文科省の科技費を取るにはコツがある」と言っています。誕生肯定に、貴重な科技費を費やす合理的な根拠はあるのでしょうか?

そしてなにより、彼はまず自分を治すことに全力を挙げるべきです。私は、彼は受洗したほうがいいと思う。

私たち読者としては、こういう調査報道こそ、マスメディアに報道してほしいです。